Autechre - Gantz Graf
https://www.youtube.com/watch?v=ev3vENli7wQ
オウテカ『Gantz Graf』(2002年) Alex Rutterford
ミュージックビデオの身体論④ カメラレス・ダンス
CGがもたらした様々な変化の中でも、MVにとって特に重要なのは、映像と音声の厳密な同期である。例えばオウテカ『Gantz Graf』(2002)では、3DCGで描画されたメタリックな機械装置が、楽曲の変則的なリズムに合わせて運動・変形を繰り返す。1フレーム単位の徹底した同期性によって、楽曲が先にあってそれに映像を付けたのか、それとも映像が先にあって楽曲を付けたのかも分からなくなるほど不即不離の関係を築いた映像=音声は、まさに人力では困難な、コンピュータならではの表現であると言えるだろう。
オーディオリアクティブ
数学と計算機と美学
この当時で後のジェネラティブアートに大きな影響を与えたのは、オウテカのGantz Grafのミュージックビデオであることは間違いないだろう(図18)。今でいうオーディオリアクティブな映像の原点がここにあり、オウテカの無機質で暴力的な音と、それがそのまま視覚的に変換されたような幾何学的なCG映像は、まさに音と映像が直接つながっているような気持ちよさがあった。ただし実際Gantz Grafの映像はアルゴリズムから生成されたわけではなく、1フレームごと手作業で映像をつくっていたようだった(注8)。
Alex Rutterford on the Creation of the Gantz Graf Video
https://web.archive.org/web/20090707032939/http://warp.net/records/autechre/alex-rutterford-on-the-creation-of-the-gantz-graf-video